国際教養学部2年生が留学先5カ国での研究成果を発表
「ドイツのメディア」「フランス人の多彩な表現」などテーマに

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 国際教養学部の2年次または3年次春学期に1セメスター(1学期間)の語学留学を行う、選択科目「海外課題研究」の成果を2月2日、代表者8人が報告した。国際教養学部では、5つの国から選択した第二外国語と英語の習得を学部教育の柱としている。専攻する第二外国語に基づいてフランス、スペイン、ドイツ、ロシア、中国の5カ国に留学して行う「海外課題研究」は、語学習得だけでなく、留学先の文化や社会に関連した研究も行う。他の学生の研究成果を聞こうと参加した同級生のほか、同様の留学を来年度に予定している1年生や教職員ら計123人が発表に耳を傾けた。

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ドイツ・佐藤さん

 報告会に出席した学生と教員による投票の結果、佐藤智里さんによる「ドイツのメディア」が優秀報告者の1位に選ばれた。情報収集にインターネットをよく使っているという佐藤さんは、日本における情報収集の手段が新聞からインターネットに移ってきていることに着目。留学先のドイツにおけるこれらのメディアについて、購読・閲覧状況などを日本と比較した。全国紙5社、地方紙200社の日本では全国紙の購読率が高く、全国紙10社、地方紙335社のドイツでは地方紙の購読率が高かった。また、ドイツ人のスマートフォン所持率も日本ほど高くはなく、ドイツ人にとって関心の高い地域情報は新聞で得ていることがわかった。佐藤さんは、ドイツは東京のような一極集中都市がなく、都市の自治意識が高く地方分権が進んでいることが、地方紙がよく読まれている原因だと分析した。

 「ハポン」(=スペイン語で「日本」)の名を冠する町で、ハポン姓を持つ人たち30人から日本との繋がりを調査した越山佳純さんの「『ハポン』という名字とコリア・デル・リオ」が2位。映画の台詞のようにロマンチックな言葉や、ウィットの効いた食品パッケージなどに注目した加藤真央さんの「フランス人の多彩な表現」が3位に選ばれた。

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スペイン・越山さん  フランス・加藤さん 

 今年度は64人が2014年8-12月にレンヌ第二大(フランス)、パブロ・デ・オラビデ大(スペイン)、IIK, デュッセルドルフ大(ドイツ)、サンクト・ペテルブルグ大(ロシア)、上海大、蘇州大(中国)の6大学に留学した。履修生は、それぞれが関心や疑問を抱いたテーマの研究に取り組みながら、提携先大学の語学研修プログラムを受講した。現地では磨いた語学力を駆使して研究の対象とした地域に赴いて聞き取りをしたり、店舗や施設で検証を重ねながら研究を進めてきた。

 留学の効果を高めるため、「海外課題研究」は留学前に情報収集や語学の学習計画をまとめた計画書、帰国後は研究結果と語学上の観察や自己評価などについて報告書の提出を必須としている。杉江修治学部長は「みなさんは留学に行って幹に枝が生えたところ。これからどんな葉を茂らせるかが大切です。留学に行かなかった人も一緒に葉を茂らせてもらいたい」と激励していた。

 

■発表者と研究テーマ(発表順)

「フランス人の多彩な表現」加藤真央

「『ハポン』という名字とコリア・デル・リオ」越山佳純

「ドイツのメディア」佐藤智里

「ロシアにおける非言語コミュニケーション」佐野沙知子

「フランスにおける香りの歴史」堀場真梨乃

「スペインにおける失業率と就職事情」岩尾満帆

「ドイツの手工業 Handwerk」宗盛万葉

「中国の食品衛生」丹羽由子

2015/02/05

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