第3回研究交流会「知の饗宴としてのオリンピック」
オリンピックを身体、情報、政治という3つの視点で捉えて発表

研究交流会の会場風景 研究交流会意見交換

 

 

田内准教授
田内准教授
伊藤教授
伊藤教授
ペトリシェヴァ准教授
ペトリシェヴァ准教授
來田教授
來田教授

 ソチオリンピックを目前に控え、「知の饗宴としてのオリンピック」と題した第3回研究交流会が1月21日、名古屋キャンパス・アネックスホールで開かれた。 オリンピックを身体、情報、政治という3つの視点で捉え、体育研究所、人工知能高等研究所、社会科学研究所の研究員がそれぞれ発表。参加した本学の教員や学生60人が熱心に聞き入った。

 

 田内健二・スポーツ科学部准教授は、やり投げ競技で日本の第一人者である村上幸史選手とディーン元気選手の腕のしなりと下半身の動作に注目して解説。世界トップ選手の平均モデルに動作を近づけることでパフォーマンスは向上するとの見解を、スポーツ科学の知見とコーチングの実践報告により示した。

 

 伊藤秀昭・工学部教授は、体育研究所と人工知能高等研究所が進めている共同研究「五輪資料プロジェクト」の一員として、過激派に選手村が襲われたミュンヘンオリンピック事件時のIOC委員長ブランデージ氏が保管していた膨大な書簡を管理・分析するシステムの開発に携わっており、データ管理や検索機構の試みについて現状を説明した。

 

 ウクライナ国籍で本学国際教養学部のペトリシェヴァ・ニーナ准教授は、ソチオリンピックを政治的な要素(経済の活性化や国際的な協力・支援などの期待のほか、テロやインフラ整備に伴う汚職などの不安)について言及し、ロシア政府、ロシア国民、国際社会の3つの立場の見解について述べた。

 

 座長の來田享子・スポーツ科学部教授は、次のように研究交流会を締めくくった。「3つの研究報告のうち、田内報告では人種や性別や社会的背景があっても、人間には違いがないということが見えてくる。その一方で、伊藤報告やペトリシェヴァ報告のようにマクロに捉えるに従って、差異があるように見えてくる。人間、あるいは人間の集団を解明するためのアプローチには様々な方法と見方があるのだということ、異なる領域の研究が様々な光のあて方をすることの魅力を感じることができた」。



 

 研究交流会は、本学の優れた研究を積極的に社会に発信していこうという北川薫学長の呼びかけに、本学に設置された6つの研究所が応じて、昨年1月にスタート。教員たちは専門分野の枠を超えて交流し、相互に研究力を高めていこうと意欲的に取り組んでいる。

2014/01/22

  • 記事を共有