開学60周年記念でハンマー投げの室伏広治氏が基調講演
水泳の松田丈志氏、京都大学大学院教授の森谷敏夫氏と3者による座談会も

 

室伏氏 中京大学開学60周年記念
室伏氏  

 

 来年春、中京大学が開学60周年を迎えるのを前に、オリンピック陸上ハンマー投げ金メダリストの室伏広治氏とオリンピック競泳銀メダリストの松田丈志氏、京都大学大学院教授の森谷敏夫氏を招いた記念講演会が10月9日、名古屋キャンパス図書館・学術棟にある「清明ホール」で開かれた。開学60周年記念講演会は今年5月に、当時トヨタ自動車取締役会長だった張富士夫氏による講演に続いて2回目で、学生や教職員、スポーツ関係者、市民ら約430人が熱心に聴講した。


 講演会は「大学の未来へのメッセージ」を統一テーマに、中京大学スポーツ科学部准教授でもある室伏氏による基調講演と、中京大学OBの松田氏、森谷氏に室伏氏を交えた3人による座談会の2部構成で行われた。
室伏氏は「自己への挑戦~未知なる探求」をテーマに掲げながら、7年後に開催が決まった東京オリンピックについて、決定の背景と影響を分析。博士号を持つ現役のアスリートらしく、グラフやデータをスクリーンに示しながら講演した。

 その中で室伏氏は、「7年後に開催される東京五輪は、日本が変わる大きなチャンス」として、開催に向けてのキーワードに国際化と女性の社会進出をあげた。母校・中京大学の未来についても同様に「国際化と女性の社会進出を意識して未来の教育を構築し、人材を送り出さなければならない」と述べた。

森谷氏

森谷氏

松田氏
松田氏

 また、長くハンマー投げ選手の第一人者であり続けていることについて、「かつての成功体験にまどわされることなく、成功したからと言って、同じことを繰り返していてはダメだ」と常に自分自身を分析し、自己改革を続けることの重要性を強調した。また、数多く獲得したメダルよりも「(試合に勝てなかった)9回の『ノー・メダル』が次へのメダルにつながっている」と説明した。

 座談会は、今年中京大学同窓会長に就任した森谷氏がコーディネーター役で「わたしたちと中京大学」と題して進められた。3氏がそれぞれ在学当時のエピソードなどを披露、体操部に所属していた森谷氏は、トップ選手がいなくなった体育館で、「真剣味」の校訓を眺めながら深夜遅くまで練習していた経験が、その後のアメリカでの留学、京都大学での研究生活に役立っていると述べた。

 また、オリンピックに3回出場した松田氏は、中京大学在学中に参加したアテネ大会でメダルが取れなかった時の悔しさが、その後の北京やロンドンでのメダル獲得につながったことを説明した。
さらに、松田氏は個性的な練習方法を受けいれてくれた中京大学に感謝しながら、中京大学の未来へのメッセージとして、「今後もいろいろな若者を受けいれ、個性を伸ばして、時代の最先端を走り続けてほしい」と要望。室伏、森谷両氏も大学の未来について「国際化の重要性」を強調しながら、さらなる発展を期待した。

2013/10/11

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