総合政策学部の「読売講座」が好評
新聞記者が政策決定の現場を解説

読売新聞・川戸直志部長
読売新聞・川戸直志部長

 総合政策学部の学生を対象に、読売新聞の編集幹部や記者が講師を務める「読売新聞講座」(総合政策特殊講義)が始まりました。今年度のテーマは、「新聞から見た政策決定の現場」で、政治・経済や教育、司法などの最前線で起きている現象が、現場での取材体験を基に分かりやすく解説され、学生たちが真剣に耳を傾けています。

 4月26日の4回目の講義は、読売新聞中部支社経済部の川戸直志部長が「岐路に立つ中部経済~その実力と展望~」と題して、中部地方の潜在的な力や課題について分析しました。

 川戸部長は、織機の生産から世界的な自動車メーカーに発展したトヨタグループ、食器から碍子やセラミックなど製品を拡大していった森村グループ、ミシンからファクスなど複合機の生産に力を注ぐようになったブラザー工業などの例を挙げて、「この地方の企業は、危機や時代の変化に直面して自己変革を遂げてきた。新規事業を開発・発掘するDNAを持つ企業が多い」と指摘しました。

 その一方で、日本の少子高齢化が進んで国内市場が縮小する中で、ブラジルやインドネシア、インドなどの新興国市場が拡大を続けており、中部圏における産業空洞化の懸念や「トヨタ頼み」の経済構造の限界にも言及しました。また、首都圏や関西圏に比べて、消費や金融が弱いことなども特徴として挙げました。

 そのうえで、自動車以外に、航空宇宙や健康福祉、農業、観光など産業の多角化を推進することや、2027年のリニア開通をにらんで名古屋駅地区を再開発することの重要性を強調。学生たちには「変化を前向きに受け止め、国内だけでなく海外でも活躍できるグローバルな人材を目指して、日本や中部の経済を発展させてほしい」と呼びかけました。

興味深い解説に聞き入る学生たち

興味深い解説に聞き入る学生たち

 受講した総合政策部3年、磯貝秀幸さんは「東海3県の歴史を紐解くと、自己変革力によって産業を拡大させてきた企業の姿が見えてくる。人口減・円高などの不況を受け、日本全体で再び産業における<大変化の時代>が訪れており、私たち学生もそのような現状をしっかりと汲み取り、アグレッシブに考えていく姿勢を持っていこうと思った」と話しています。

 また、同2年、田中謙佑さんも「この講座で、東海3県が他の地域より秀でている産業を持っていることを知ることが出来た。産業の空洞化が懸念されてはいるが、トヨタを含め優秀な企業が多数そろう東海3県の未来は明るいと思う」と語っています。

 「読売講座」は7月19日まで、計15回開かれます。

2012/04/27

  • 記事を共有