法科大学院と司法試験
これまでの司法試験は受験資格がなく誰でも受けられることから、広く多様な人材を吸収できる可能性がありました。しかし、その合格率のあまりの低さ(わずか3%程度)から、条文や判例を丸暗記するなど知識のみを競う試験と化し、豊かな人間性や社会性など本来法曹がもつべき素養や、新たな社会変化に適応した実務能力などが、長く置き去りにされてきました。こうした反省から新たな司法試験では、法科大学院で専門教育を受けた者に受験資格を与え、合格率を50%から70%以上に引き上げることをめざしています。
こうしたことから法科大学院には、司法試験合格のための教育でなく、その先を見据えた実務能力の養成を主眼とし、新たな法的ニーズの多様化に適応する能力を備えた法曹の育成が期待されています。
法科大学院の特色
法科大学院の修業年限は法学部卒業生が2年(既修者コース)、他学部卒業生が3年(未修者コース)とされていますが、法学部出身者については、もう一度基礎から学びたいと考えれば3年コースを選択することもできます。そして、卒業時に「法務博士」(専門職)の学位が授与され、新司法試験の受験資格が得られます。
その学びの特色は、従来の大学法学部のような教授による一方的な講義でなく、少人数制による教授と院生との双方向の講義が中心。さらに、現役の弁護士や裁判官、検察官などの実務者により、実務能力の向上をめざす指導も行われます。
卒業後のプロセス
法科大学院を卒業すると、新司法試験の受験資格が得られます。見事、司法試験に合格すると、司法研修所で「司法修習」を受けることになります。司法修習とは、法曹三者(弁護士・裁判官・検事)として実務に当たるための基礎的能力や心構えを身につけるための国による研修制度で、司法研修所のほか、弁護士事務所や裁判所、検察庁などの実務現場で「実務修習」を受けます。期間は1年、その終了後に「司法修習生考試」に合格した者に対して、晴れて法曹資格が与えられます。
法科大学院が生まれた背景
国民が司法をより身近なものとして利用できるようにするためには、裁判官や検事、弁護士などの法曹(法律の専門家)の大幅な増員が不可欠です。そこで、政府の司法制度改革推進計画では、「法科大学院を含む新たな法曹養成制度の整備の状況等を見定めながら、平成22年ころには司法試験の合格者数を年間3000人程度(平成16年は1500人)とすることを目指す」とし、法科大学院の設置を前提に、平成18年から新たな司法試験を導入することとなりました。