Seminar
リチャード・モリソン ゼミナール

To know thyself! 大切なのは、自分自身を知ること

英語は、新しい世界の扉をひらく鍵

国際英語キャリア専攻では入学後の2年間に、多読法やオーラルプレゼンテーションといった手法を取り入れながら、圧倒的な量の英語にふれることで、英語を自分のものにします。さらに、海外研修や発表会など、教室の外で英語を使う機会も多く、学生は英語を通じて新しい世界にふれることができます。英語を学ぶということは、世界を知る手がかりを得ることに他なりません。このゼミもまた、さまざまなGlobal Issue(国際問題)に取り組みながら、世界を理解することを目的としています。
国際問題の中でも、ここでは特に日本に関係する課題を取り上げています。世界にはさまざまな人々が住んでいますが、日本の中にも男性と女性、学生、主婦、サラリーマンといった人たちがいて、それぞれが何らかの問題を抱えながら暮らしています。そこには、世界に共通する課題も存在します。ゼミではこれまでホームレスや地球温暖化、ジェンダー、女性の権利問題などについて話し合ってきました。どんなテーマを選ぶかは学生次第です。学生はまず、自分が興味をもつ問題に関して独自に調査し、その後、グループを作って情報交換しながら解決策について考えていきます。

ゼミ学習フォーラム

大学は、あなた自身を発見する場所

ここで大切なのは、問題解決に向けて自分に何ができるかを考え、行動することです。私のゼミの学生は、ボランティア活動に参加したり、企業や自治体に提案を行うなど、具体的な行動によって問題解決に取り組んでいます。そこで学生は問題の本質を理解し、その解決を難しくしているさらに大きな課題にも気づくでしょう。そして、今という時代に危機感を抱くかもしれません。しかし、この危機感こそが社会というものへの関心を高め、あなたと世界がどう繋がっているかを知るきっかけとなります。
あなたが学生時代に問題だと思ったことは、大学を卒業してからもずっと存在し続けるでしょう。将来、あなたがどんな仕事をしようと、人として考え続けなければいけない問題がある。だからこそ私は、自由な時間のもてる大学時代に、未来に関わる問題について考え、その解決に挑戦してほしいと願っています。この挑戦を通じて世界を知ること、そして自分の限界や可能性を知ること、つまりTo know thyself ― 自分自身が何者かを知ることこそが、社会人として、そして国際人として生きる上でとても大切なことだと思うから。大学とは、あなたが自分自身を発見するための場所なのです。

Seminar
ジェームズ・F・ダンジェロ ゼミナール

英語を母語としない人が将来の英語を形作るかもしれない

堂々と話せる「知識人としての英語」を学ぶ

私のゼミでは毎年、「Educated Japanese English (=知識人としての英語)」をベースに、様々な角度から研究テーマを設定しています。今年のゼミテーマは「国の分析」。1国につき2週をかけて、地理学、政治学、経済学、社会学、文化、宗教などについて探っています。例えば経済学についてなら、資本主義か社会主義かといった基本的な経済構造からGDPの成長率まで、かなり具体的に調べます。学生間で分担を決めて調べた内容を発表し、ディカッション。これまでにフランス、ドイツなど、ヨーロッパの国から南アフリカ、イスラエル、イラン、サウジアラビアなど中近東諸国、中国、韓国、インドネシアほかアジア各国と、多彩な国を取り上げてきました。
ゼミは基本的に英語で進行します。学生たちはお互いに、発表を真剣に聞き、積極的に質問や感想を述べ、良いリアクションをしています。こうやって外国の成り立ちや文化的背景を深く知ることは、その国の真の理解に繋がるでしょう。いつか何らかの形でその国と接することになった時、このように正しい理解に努めたベースがあれば、役立つ可能性は大きいでしょう。何より、調べや発表を通して、単なる英会話でなく学際的な英語を使えるようになることで、将来、どこに出ても恥ずかしい思いをすることはありません。

必要なのは、流暢さより知性と教養

Educated Japanese Englishとは、ネイティブ・スピーカーが話すような流暢な英語を目指すものではありません。例えば、英語を母語としない日本人の学者とスウェーデン人の学者が国際会議の場で話し合う際に重要なのは、なまりのない美しい発音ではなく、専門知識・技術等について正確に伝え合うことです。これは学会の場に限らず、国際的に活躍しようと思ったらあらゆる職業、あらゆるシーンにおいて必要でしょう。私のゼミの卒業生で、カリフォルニアで不動産業をしている人や、インドにある日系企業で働く人がいますが、彼らは日常、ネイティブ・スピーカーのような慣用表現を用いることより、ビジネスパーソンとして恥ずかしくない英語で取引先と対話し、意図を正確に伝えることを重んじているはずです。
激化する国際競争社会の中で、いま学生に求められているのは、単なる英語力ではなく教養人としての英語を身につけること。現代社会のツールとしてのWorld EnglishesとEducated Japanese Englishについて、一緒に考えていきましょう。この先、世界共通語としての英語の礎を築くのは、ネィティブ・スピーカーではなく、英語を母語としない人のEducated Englishかもしれません。

The Asian Corpus of English Project

Seminar
足立 公也 ゼミナール

雑多に見える現象の中から、隠れたテーマを見つけ出す

言葉を物理学のように、自然科学としてとらえよう

私の専門は英語統語論。簡単に言えば文法ですが、高校までの英文法の授業のように文型を覚えるのではなく、英語表現の中にある規則性を自分で見つけていくことがテーマです。英語統語論とは、英文の成り立ちや組み立てを考えるもの。言葉がしゃべれるのは、気づかないところで規則に則っているはずだからなのです。例えば日本語を学んでいる外国人が時折、「私は」と言うべきところを「私が」と言ってしまうなど、「は」と「が」の使い分けを間違えることがあります。でも日本人は意識しなくてもまず間違えたりしないものです。英語で考えるなら「a」と「the」など、ネイティブ・スピーカーたちは特に意識することなく使い分けている、といったような規則性を探ります。
中学校で初めて英語を習って、英語の助動詞、完了形、進行形、未来形、受け身と規則性があると知った時の驚きが、今の研究のはじまりですね。全部組み合わせると未来完了進行形で受け身の文章を作れる、とか。「英語って、何て規則的なんだ」と、英語にひかれました。「英語に関わる仕事をしよう」と思ったのも、そこからですね。

言語は、どこをとっても規則的なものである

バラバラに見えていたものがつながって見える瞬間が、研究をする面白味です。 例えば、「昔々、お姫様がいました、お姫様は~」という日本語を英語に置き換える時、“お姫様が”は“a princess”であり次の“お姫様は”は“the princess”となります。最初は“a”で誰かわかった時点で“the”になるわけですね。最近の研究は、英語なら英語だけじゃなく、それ以外の言語、例えば日本語と比較しながら変化の規則性を探す・・・という方向で進められています。研究材料はどこにでもあります。例えば、「言い間違い」をテーマにしている研究者がいます。言い間違いも、音とか文法的にとか、いくつかのパターンがあるのですよ。
私は現在、複合語における日本語と英語の比較を研究しています。研究のためには結局、英語をたくさん読んだり聞いたりする中から探すしかないですね。ただ読んだり聞いたりではなく、意識して、視点を持って見ると問題が浮き上がって見えてくるものです。
言語ごとに音の組み合わせには固有のルールがあり、数十の音の組み合わせによって単語ができ、さらに単語の組み合わせにもルールがあって、文となります。言語は限られた材料とルールで作られているのです。そして、忘れてはいけないのは、言語が文化を成立させているということです。

子どものように「なぜ?」という気持ちを持ち続けてほしい

「英語に興味を持った」という人の多くは恐らく、私のように言語の規則性にではなく、コミュニケーションの手段としての英語に興味を持っているのでしょうね。また、「英語に関わる仕事がしたい」と考える時も、英語そのものの研究より、英語を使って何かすることを考えているのではないでしょうか。もちろん、それはそれですばらしいことだし、私のようなスタイルの英語研究もOK。様々な興味の対象に対応できるのが国際英語キャリア専攻です。
英語は、決して覚えるだけの学問ではありません。興味を持って、面白がって見るといいと思います。好奇心を持ってみていると、ある時間フッと何かが浮き上がって見えてくることがあると思います。いろいろなことに興味を持ち、疑問を持って物事を見続けてほしいですね。

Seminar
吉川 寛 ゼミナール

20億人とのSAY HELLO!

あらゆる国に、それぞれの文化を映した英語がある

「英語は世界共通語である。しかし、必ずしも世界共通ではない」と聞くとあなたは不思議に思うでしょうか。しかし、それが国際英語(World Englishes)における見解なのです。
King’s Englishという言葉があるように、英語はイギリスやアメリカで使われているものが標準語だというイメージを我々は抱いています。しかし、現実には、世界中で20億もの人々が英語を使ってコミュニケーションを行っており、その中には英語が母語ではない国の人の方が圧倒的に多いのです。インド、シンガポール、フィリピン、韓国、日本、フランス など多くの国、地域で英語が頻繁に使われています。国際言語では、個々の英語を英語変種と呼びます。アメリカ英語もインド英語も中国英語も英語変種であり、それぞれ対等であり平等と考えます。それぞれの地域の文化を映し出した多様な英語変種が、世界中に存在しているのです。

彼の家はお金持ちです。彼の家は豪華です。

国際英語では、単に言葉を探究するだけでなく、他国の文化を理解することも大切です。例えば、「彼の家はお金持ちです」という表現があります。これをそのまま英訳すると、“His house is rich”となります。しかし、アメリカ人に言わせると“His family is rich”なのです。“house”ではなく“family”。二つの国の文化的違いが見て取れます。アメリカ人が“His house is rich”と聞くと、首をかしげます。家が豪華なのだと思うからです。しかし、興味深いのは、韓国の人も”house”を使う傾向があります。日本と韓国の家族の認識が似ているからです。言葉はそれぞれの文化によって影響を受けます。その影響を受けた英語表現から異文化理解のヒントを得られるのです。

まず話してみる。そして相手を理解すること

どちらの表現が「良い」「悪い」ではない。様々な文化が世界には存在している。言葉は文化の副産物とも言えるのではないでしょうか。経済学が経済から社会を見るように、国際英語は英語という言語から社会を見つめています。
もちろん英語をマスターしようとするなら、語彙数を増やし、文法知識を習得することは大前提です。しかし、完璧に英米語を話そうと思いこむ必要はありません。世界には国の数だけ、人の数だけ、考え方の違いがあり文化があります。国際英語の視点からは、英米語だって標準変種という一種の変種なのです。恐れることはありません。「英語は特別なものではありません。コミュニケーションの道具と考えてください。発音や文法も大事ですが、まずは使うこと。その時に相手のこともよく理解していれば、話がもっと楽しくなります。英語を母語とする人をネイティブスピーカーと言います。その約5倍もの人が、今この時間も世界中で英語を使っています。そんな人たちと心を開いて話ができる。考えるだけでも胸がときめいてくるのではないでしょうか。

Seminar
中川 直志 ゼミナール

理論を学んで感性を磨く

大学で、自ら「学びたい」テーマに出会う

日本語と英語では少なくとも表面的に多くの違いがあり、本質的に異なる言語であると考える人もいます。しかし、どんな言語を使うのであろうとも、人ならば言葉に関する普遍的な能力を共通して持っているという考え方が、今では広く受け入れられるようになっています。その先駆けとなったのが生成文法理論です。私ははじめから言語理論の研究を目指していたわけではありませんでした。大学で言語学に出会い、「理論を追究する方が自分に合っている」と思いました。大学の先生の薦めもあって研究者の道へ。ゼミではことばとことばの指導法をテーマとしています。
ゼミでは、「代名詞の指示性」、「省略現象のルール性」、「意味上の主語とは何か」など、学生自身が選んだテーマについて調べた内容を発表してもらい、それについて意見を述べたり検討を重ねたりしています。毎回、どんなテーマが出てくるかわからないので、学生たちの質問に答えるためにも、自分自身の勉強は今も欠かせません。

論理的思考力を身につけるということ

ところで、みなさんはレポートなど文章をまとめているうちに、何のために何を言おうとしているのかがわからなくなってしまった・・・という経験はありませんか。目的を見失ったまま、とにかく書き続けて仕上げるのはつらいものです。まさにそんな状況にあると思われるゼミ生の発表に対して、私は「君は何がやりたいの?」とシンプルな問いかけをします。すると、ハッと我に返り、いいレポートに仕上げ直してくることがあります。大げさですが、レポートの迷いは人生にも通じるようにさえ思います。目的を見失いかけたら原点に戻って自分と向き合い、論理的に整理して考えると、やるべきことが見えてくるものです。
ゼミ生には、「理論を学んで言葉に対する感性を磨きなさい」と言っています。論理的思考力を高めることによって、言葉に対する鋭敏な洞察力を身につけてほしいのです。それはみなさんが言葉を精緻に理解し発信する能力に繋がり、プロフェッショナルとして言葉とつきあうみなさんのキャリア、さらには人生をも助けてくれるでしょう。日本語での会話で「秋が食べ物がおいしい」といった言葉遣いに違和感はありませんが、日本語を学ぶ外国人は、「が」が2つあると主語が2つあると認識し、悩まされるといいます。また、英語と日本語では疑問文の作り方が全く違うように思われるかもしれませんが、「疑問を表すマーカーの文構造上の位置」という観点からみると、日本語と英語だけでなくあらゆる言語に共通する特性が観察されるのです。それらは人間が操る言語の本質(システムとしての美しさ)を垣間見せてくれるに違いありません。ゼミ生には、単に英語を使えるだけでなく、雑多に見えるものをきちんと整理しながら考える姿勢を身につけ、英語や言葉そのものの本質を語れる、言葉のプロフェッショナルになってほしいと願っています。

pagetop