C・スクエア

第55回企画 井上廣子展 ―汝、何を欲するか― 

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会 期
  • 2003年4月7日(月)−5月10日(土)
休 館
  • 日曜、祝日、5月2日
開館時間
  • 午前9時−午後5時 入場無料


展覧会内容

  「汝、何を欲するか」井上廣子 2001年9月11日、ニューヨーク同時多発テロ事件以降、世界はただ漠然と漂っていた不安が明確な形となり混沌の様相を現したと思う。闘争、民俗、飢饉、希望、平和、祈り……。今この時期に表現者として何が出来るのだろうか。
 私は中京大学・C スクエア第1会場において、目を閉じて瞑想するかのような12人の子供を写真に撮り、布に焼き付けて展示する。本来子供は希望に満ち溢れ、活動的で元気、未来の宝であるというイメージがある。が、近年他国を歩き、自国も含めて子供たちの目の奥に深い哀しみのサインが読み取れるようになってきたと思うのは、単なる思い過ごしだろうか。老人や子供、他の社会的弱者に現代社会が抱える諸問題が集約されているというのはよく言われることである。昨年アラスカの辺鄙な町においても、犯罪のトップはドメスチックヴァイオレンスでここでも子供を含めた弱者が犠牲になっていることに驚いた。世界のどの町に行っても状況はあまり変わらないだろう。
 本来瞑想とは無縁の子供達が瞑想をしているその意外性、非現実性は私たちに不安と事の重大さを訴えてくるのではないかと思っている。そして、ギャラリー空間の半分には明るく白く輝くシーソーやブランコが置かれている。これらは公園から消えてゆく遊具たちであり、時代とともに公園に満ちていた明るい子供達の声が消えてゆく象徴でもある。そこには子供達の多くの足跡(軌跡)が残っている。言い替えれば、生存の実在感の伴わない浮遊している感覚、不安の象徴でもある。瞑想する子供の写真と消えゆく遊具によって、私の子供体験からくるノスタルジアを超えて、それではすまなくなった現代の子供達の姿が表現出来たらと考えている。
 第2会場では瞑想する人間のポートレイトを壁に貼り、それに重ねてビデオプロジェクターで様々な風景を映写する。人物からすればビデオ映像は心象風景あり、風景からすれば人物像は点景となる。そこには人間と風景の深い関係を見ることが出来る。風景は1995年以来撮り続け作品化してきた精神病院の窓、ナチス収容所の跡地や窓、アラスカの原野の廃屋等、狂気と廃屋をテーマとしたものが多い。過去から現在へ人間の狂気が生み出す風景は負の遺産として記憶され、人間とは何かを問う契機となる。 表題の「汝、何を欲するか」は混沌の様相の中で、今人間は何を欲し何に向かって歩み続けようとしているのか。子供達は何を欲し何を考えているのだろうか。そして貴方は何を、という問いかけでもある。これは以前にも増して私の中では切実な問いかけとなっている。


作品紹介



第1会場 第2会場
第1会場


  解説 

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