体育学研究科の大学院生が国立台湾体育大学の学生と研究交流

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湯先生による講演

 体育研究所の学術講演会が1月19日、国立台湾体育大学から湯文慈(Tang Wen Tzu)教授をお招きして行われました。講演のテーマは「台湾におけるオリンピックスポーツへの科学的サポート」でした。 

 湯先生は国立台湾体育大学のバイオメカニクス分野の教授で、Exercise and Hearth Science学部長を務めています。李冠甫(Lee Guan Fu)さんらCoaching Science 系の大学院生4人が湯先生とともに来日し、湯先生の学術講演会の前に、私たち大学院体育学研究科応用スポーツ科学系の大学院生と自分の研究内容を英語で発表し合いました。

 中京大学の学生は、野球のバッティングやハンマー投げ、水泳のバタフライ泳の動作分析など、大学院で取り組んでいる研究内容を発表しました。現在、私はサッカーのスローインについての動作分析を行おうとしています。まだ実際には本格的な実験を行う前の予備実験の段階です。発表資料を英語で作るのは初めての事で苦労しましたが、映像やグラフを入れて伝わり易いように工夫しました。台湾の学生からも同様に、大学院で取り組む研究について報告されました。中京大学と国立台湾体育大学のロゴを組み合わせたスライドをイントロに使い、自己紹介もスマートに行う学生もいました。発表後にはスライドのプレゼンだけでは分からなかったことへの質問や、意見交換が行われました。

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学生同士の研究報告

 同じようなスポーツ・バイオメカニクスの研究が主とはいえ、台湾の学生の中には理学療法士やストレングス・トレーナーの方もいました。修士課程の3年生だというChien Hsuan Weiさんは、ゴルフのコーチとして職を持っているため、長期履修の制度を利用しているとのことでした。またフライングディスクの投動作に興味があるChen Yu Linさんは、私たちの先輩である笹川慶さんの論文に影響を受けているとのことでした。現在は東京の上智大学に勤めているため今回は会えないことを伝えると、少し残念そうでした。

 翌日には名古屋周辺の観光や食文化を案内しました。そして滞在の最終日には学生4人と一緒にスキーに出かけました。台湾の学生は初めてのスキーで最初はとても緊張しているようでしたが、慣れてくると上手に滑っていました。

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 これまで実際に海外の方と英語を使ってコミュニケーションを取ることがなかったので、新鮮さを感じるとともに、さらなる英語学習の必要性を感じました。言っていることをなんとなく理解できても、普段の会話のテンポで返すことができずもどかしい思いをしました。しかし、個々の単語の連続であっても、発音が多少違っていたり文法が間違っていたりして完璧な文になっていなくても、恥ずかしがらずに声に出すことである程度はコミュニケーションが取れることに気が付きました。英語が話せることが当たり前になりつつある社会で、取り残されることのないよう努力していかなければならないと強く思いました。

 また、食事や観光の場では、紙とペンを持ち、なかば筆談のようにして意思の疎通をすることができました。共通の漢字文化を持っているということは大きな力になることを実感しました。

 彼らが在学する国立台湾体育大学は、桃園国際空港のある台北近郊の桃園市にあります。この夏には、台湾で初めての国際総合スポーツ大会開催となるユニバーシアード大会が台北市などで開かれます。国立台湾体育大学のキャンパスは、アーチェリーを含む6競技の試合及び練習会場に決まっているとのことです。

 中京大学と国立台湾体育大学はこれまで深い関係を持ってきたそうです。特に、1976年から1996年まで中京大学体育学部に在職された陳全寿教授は、その後国立台湾体育大学の学長を経て台湾のスポーツ大臣を勤められ、今でも時おり中京大学に来られるそうです。

 今回は、湯先生と一緒に本当に学生が来日するのか、何人来るのか、何日滞在するのかなど直前までなかなかわからず、とても困りました。しかし、昨年のリオ・オリンピックなどでも、国によってはチームの参加が直前まではっきりしなかったことがあったことを思い出しました。このようなことも、国際交流ではそう特別なことではないのかもしれません。

 2020年の東京オリンピック・パラリンピックはもう3年後に迫っています。私はそこでスポーツ科学部、体育学研究科で学んできたことを何らかの形で活かしたいと思います。そのためにも、今回のような海外の大学の学生との交流の機会を積み重ねていきたいと思いました。

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      交流を深めた教授、中京大生と台湾の学生ら

(体育学研究科修士課程1年 塚元 佑真)

2017/02/10

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