体育学研究科の豊嶋陵司さんが日本コーチング学会第25回学会大会で学会大会賞
テーマは「短距離走におけるピッチ・ストライドのトレードオフ関係を克服する動作要因の検討」

 筑波大学筑波キャンパスで、3月16・17日に開催された「日本コーチング学会第25回学会大会」において、体育学研究科博士課程1年の豊嶋陵司さんが「短距離走におけるピッチ・ストライドのトレードオフ関係を克服する動作要因の検討」というテーマで研究発表を行い、学会大会賞を受賞しました。

◆学会大会賞 「短距離走におけるピッチ・ストライドのトレードオフ関係を克服する動作要因の検討」

学会大会賞を受賞した体育学研究科の豊嶋陵司さん

 人間が走る速さは、脚が回転する速さを示すピッチと、1歩の歩幅を示すストライドで決定します。しかし、ピッチを速くしようとするとストライドは小さくなりやすく、逆にストライドを大きくしようとするとピッチが低下しやすい、所謂「トレードオフ」の関係が存在します。疾走速度を高めるためには、どちらか一方を高めるだけではなく、他方の低下を抑制することも重要になります。よって、このトレードオフ克服のための動作的な要因を明らかにするため、ストライドが同程度でピッチが異なる選手の比較、ピッチが同程度でストライドが異なる選手の比較を行いました。この研究は、疾走速度を高めるための動作要因を一括りにするのではなく、ピッチを高める要因とストライドを高める要因とを分けて考察することにより、選手の課題に応じた指導を行うための知見が得られるという点で、コーチングに貢献しうるものと考えています。

 実際の分析では、競技会で撮影した映像から、選手の身体の関節位置などを座標として数値化する、「デジタイズ」には非常に多くの時間を費やしました。選手1名の分析だけでも容易ではありませんが、今回は50名以上の選手を分析対象としたため、高い集中力と強い忍耐力が必要でした。さらにその座標データからどの様な動作的変数を算出するのかということに関して大変悩みました。また、統計的に結果が得られたとしても、その動きが具体的にどのようにしてピッチやストライドに影響するのか、力学的に考察することは大変難しいことでした。

 その様な過程を経て、学会当日には多くの方が発表を見に来てくださり、「興味深い」、「面白い」というご感想もいただくことができました。今後は論文投稿に向けての準備を進めるとともに、まだまだ課題点の多い研究であるため、多くの人と議論を重ねながらそれらの課題を克服し、研究を通してスポーツに貢献できるよう精進したいと思います。

(体育学研究科博士課程1年 豊嶋 陵司)

2014/03/27

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